白癬病変部の角層のターンオーバーを健常部と比較するために、モルモットの背部に実験白癬を作成し、蛍光色素ダンシルクロライドで角層を染色して経過を観察した。 1.初感染 【方法】 (1)白癬に感染したことのないハートレー系モルモット10匹の躯幹を抜毛し、背部の2カ所に、一方はTrichophyton mentagrophytesの好獣性菌種の胞子懸濁液を、もう一方は対照として蒸留水を塗布しポリエチレンフィルムで覆い、弾力絆創膏で固定した(実験白癬の作成)。 (2)24時間後に閉鎖密封を解除してダンシルクロライド軟膏を塗布して再び24時間閉鎖密封した(角層の蛍光染色)。 (3)その後ウッド灯による肉眼的観察および蛍光強度計による測定で、白癬病変部と対照部の蛍光の推移を経時的に観察した。 【結果】病変部の方がより急速に蛍光を失っていき、1週間から10日で蛍光の大半が消失した。一方、健常部では蛍光強度が半減するのに20日前後を要した。 2.再感染 【方法】 (1)モルモット10匹の腹部にT.mentagrophytesを接種し、1カ月後にトリコフィチン皮内反応が陽性であることを確認した。 (2)このモルモット10匹を用いて初感染と同様の方法で背部に白癬菌を接種し、ダンシルクロライドで角層を蛍光染色して経時的に観察した。 【結果】初感染と同様に病変部の方がより急速に蛍光を失っていったが、初感染に比べて再感染の方が蛍光の消失が若干早かった。
|