日光角化症5例について、AMex固定標本を作製し、種々の抗ケラチン抗体と抗IL1a、抗体IL6抗体を用いて免疫組織学的検討を加えた。その結果、日光角化症の病変部の表皮細胞においては、正常表皮と比較して、増殖型ケラチンである、K6、16、17の発現が強い傾向がみられた。特に組織学的に角質増殖型あるいは皮角様を呈した3例については、特にこれら増殖型ケラチンの発現とともに、IL1a、IL6のサイトカインも強く発現していた。 同時に、日光角化症について2次元電気泳動により、ケラチンの発現について検討を加えた。その結果は、先に述べた増殖型のケラチンの発現が、蛋白レベルでも証明された。K16とK17の発現に違いがあるかどうかについて、毛包系腫瘍をコントロールにして検討したが、K16とK17の発現はほぼ均等であり、毛包系腫瘍にみられた、K17の発現がK16のそれよりも優位であるという所見は得られず、日光角化症が表皮系の腫瘍であることが示唆された。 長期間日光曝露を受けた皮膚については、全身性白皮症の79歳女性患者より得られた、左前腕皮膚をもとに検討を加えた。組織学的には、表皮の萎縮、真皮上層の著名な日光変性が認められた。IL1a、IL6による免疫組織学的検討では、IL1aの強い染色が認められたに対し、IL6の発現は弱いという所見が得られた。
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