汎発性強皮症は原因不明の結合織疾患であり、コラーゲンをはじめとする細胞外マトリックスの皮膚やその他の諸臓器への過剰な沈着を特徴とする。その病態の形成には、血管障害やT細胞機能異常より始まり、線維芽細胞におけるコラーゲン代謝の調節異常に至るプロセスが想定される。強皮症線維芽細胞に認められるコラーゲン合成の異常は、継代後数代にわたって保持されることより、強皮症のコラーゲン代謝の研究はin vitroで、継代早期の培養線維芽細胞を用いる方法が一般的である。強皮症線維芽細胞の研究は継代早期の培養線維芽細胞を用いる方法が一般的である。しかも、diffuse cutaneous型であるべきとされている。申請者は線維芽細胞の培養は日常的に行ない、現在、強皮症線維芽細胞は7株培養中で、実験には継代早期の細胞しか用いない。申請者は以前、choramphenicol acetyltransferase assay(CAT assay)を用いて強皮症線維芽細胞におけるCOLIA2の転写活性の上昇を証明し、TGF-βのCOL1A2の転写活性に対する影響を調べ、強皮症線維芽細胞では正常線維芽細胞で認められるTGF-βによる転写活性の上昇が認められなかったことを報告した。また、強皮症線維芽細胞はコラーゲン産生ばかりでなく、その増殖の異常もあり、申請者はその増殖能の異常についてすでにいくつかの結果を報告している。また、特に当研究期間中はエンドセリンに対する強皮症線維芽細胞の増殖能の低下を新たに見いだした。また、類縁疾患としてケロイド由来培養線維芽細胞の増殖能、コラーゲン代謝の異常についても新知見を見いだした。
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