研究概要 |
接触光過敏症(contact photosensitivity;CPS)は遅延型過敏症の一型であり、テトラクロロサリチルアニリド(TCSA)を光ハプテンとすることにより、マウスにおいて誘導可能である。このCPSは、光感作部皮膚に中波長紫外線(UVB)を前照射することにより感作成立が抑制されるが、これはCD4_+の光ハプテン特異的サプレッサーT細胞(Ts)が誘導されるためである。Tsはin vivoでは感作の成立を、またin vitroにおいては感作マウスリンパ節細胞の増殖をいずれも抗原特異的に抑制する。これらのことは、他の一般的な遅延型過敏症においても同様の機序が証明されているが、最近の知見であるマウスCD4_+細胞の性格的分類において、Tsは遅延型過敏反応を担当するTh1を抑制することから、Th2としての性格を有する可能性が指摘されていた。我々は、Ts誘導マウス脾細胞をTCSA光修飾細胞で抗原刺激を行うことにより、99%がCD4_+のフェノタイプを持ち、in vivoおよびin vitroにおいて抗原特異的な抑制活性を有し、高濃度にTsを含む細胞群(pulsed T cell;Tp)を精製し、またバイオアッセイをもちいて蛋白レベルでのサイトカイン産生パターンを調べたところTpが抗原刺激によりIL-4を産生し、また、TpよりmRNAを抽出しRT-PCR法により調べたところIL-4,IL-10のシグナルを認め、Th2としての性格を有することを示した。さらにTpのT細胞受容体(TCR)をマウスTCRVβに対する抗体を用いて調べたところVβ7とVβ13の2種類のクローンからなることがわかり一方の影響を除外したうえでin vitroにおいて調べたところVβ7を有するクローンに抑制活性があることがわかった。さらにin vivoにおいてTs誘導マウス脾細胞を抗Vβ7抗体と補体で処理しナイーブマウスに投与したところ抑制活性が消失しin vivoにおいてもVβ7を有するT細胞が抑制活性を有する事を示し,このときTs投与マウスにおける惹起反応の抑制とリンパ節細胞内のVβ7陽性細胞数とに相関が見られた.またTpにおいてTh2タイプのサイトカイン産生を示すクローンはVβ7であることを確認した.
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