研究概要 |
ラミニン分子内の新活性部位の検索については、アミノ酸配列に従いオーバーラップさせて合成したペプチドを用い網羅的に検索する方法にて、ラミニンA鎖C末端G領域において細胞接着能を有するアミノ酸配列を5箇所見い出した。そのうちの1つであるAG-73と名付けたアミノ酸配列は、強い細胞接着能のみならず細胞伸展能、神経突起伸展能を持ち、抗インテグリン抗体で阻害されなかった。この結果については、現在投稿中である。 一分子内にYIGSR配列を16個持つ分枝状YIGSRペプチドは、通常のYIGSRペプチドに較べ極めて強い抗転移能を持つことを我々は報告してきた。(Cancer Res.,53:423-428,1993,Cancer Res.,53:3459-3461,1993)この合成ペプチドを抗腫瘍薬剤として用いる可能性を追及するために、とくに造腫瘍抑制能の増大を目的として、インターフェロンとの併用実験を行った。マウス黒色腫B16-F10細胞を100万個皮下注後、分枝状YIGSRペプチドを連日投与した場合、マウスIFN-βとの併用投与では、ペプチド単独投与に較べ有意に腫瘍増大が抑制された。また、同細胞10万個静注後、翌日より4日間のペプチド投与あるいは併用投与では、2週後の肺コロニー数は併用群で有意に少なかった。この結果は現在、投稿準備中である。
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