皮膚に対する紫外線による皮膚の損傷の指標としてsunbu cellの数に注目し、亜鉛製剤の塗布の有無による、sunbu cellの数の変化をみた。ヘアレスマウスの体幹皮膚に8時間後と3回、酸化亜鉛を塗布し、その24時間後、背部の皮膚にUVBを2000J/m^2照射し、24時間後に皮膚を採取し、HE染色標本により、表皮に形成されたsunbu cellの数をカウントしたところ、コントロール群に比較して、酸化亜鉛を塗布した群では有意な差はないものの、sunbu cellの生成が抑制され、紫外線による皮膚損傷を軽減することが示された。またこのときの表皮細胞におけるメタロチオネインの誘導について免疫組織化学的に検索を行ったところ表皮細胞内にメタロチオネインの存在は確認されたが、コントロール群と酸化亜鉛塗布群の間に明らかな差はみられなかった。 また培養細胞を使って、細胞の紫外線感受性に亜鉛製剤の投与の影響を観察するため、皮膚扁平上皮癌由来のHSC-5細胞をあらかじめ酢酸亜鉛を加えた培地で培養し、その後、UVBを照射を行った後colony形成法を用いて、亜鉛の紫外線照射による細胞の生死への影響について検討した。酢酸亜鉛は安全性が高く、酢酸亜鉛添加による細胞毒性はみられなかった。しかし酢酸亜鉛の添加による紫外線感受性の変化は見いだすことができなかった。 今回、メタロチオネインによる紫外線防御効果について明らかにはできなかったが、亜鉛塗布による紫外線防御効果は確認されたので、この機序について今後追求をしてみたい。
|