本年度はH_2^<15>Oボーラス静注法とPETを用いた脳血流量(CBF)画像及び^<123>I-IMPや^<99m>Tc-HMPAOとSPECTによるCBF画像を標準日本人脳アトラスへ画像変換し、脳賦活試験をおこなった際の有意な賦活領域の検出や病変部を自動的に検出するためのシステムを構築するための研究をおこなった。既に開発したNeural netを用いて画像を非線形的に変換するソフトウエアを用いて正常被検者から得られたPET画像およびSPECT画像を画像変換し、正常例における脳準アトラス上での各CBF値の正常値を算出し、線形変換のみをおこなった場合と比較した。その結果、非線形変換をおこなった場合の方が、脳局所におけるCBF値の変動は、線形変換の場合に比し、小さいことがわかった。実際にMRIを用いて、線形変換と非線形変換を比較した場合、非線形変換の方がより正確に複雑な脳構造をより忠実に重な合わせられることが確かめられており、正常者の標準アトラス上でのPET、SPECTによるrCBF値の変動が線形変換より非線形変換の方で、より小さく安定している原因は、画像変換がより正確におこなわれていることが重要と思われた。また、両者の方法を用いて、聴覚的に有意味語を呈示したときの反応をPETで調べたところ、非線形変換を用いた時の方が、線形変換を用いた時より、両側Heschel回、左上側頭回(ウェルッケ領野)のt値および有意な賦活領域は大きく検出された。以上、脳賦活試験および正常者のデータベースを用いた自動的な病変検出のためには非線形変換がよりすぐれていると思われた。
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