研究概要 |
Single photon emission computed tomography(SPECT)及びN-isopropyl-p-〔^<123>I〕iodoamphetamine(^<123>I-IMP)を用いたmicrosphere modelに基づく局所脳血流量定量測定法(microsphere法)における2つの問題点,1)脳組織から^<123>I-IMPが洗い出されることを無視している点,2)通常は^<123>I-IMP静注後早期での短時間の撮像が困難なため静注数十分後に撮像した画像を補正したものを使用していること,による局所脳血流量の算出誤差を定量的に評価した.その結果を以下に述べる. 問題点1)に対する検討結果:被検者10名から測定した動脈血中の^<123>I-IMP時間放射能曲線(microsphere modelの入力関数)を用いてシミュレーション解析を行ったところ,^<123>I-IMP静注後5分以内であれば約5%以下の誤差率で局所脳血流量を測定可能であると算定された.臨床では,5%程度の誤差は無視できうる大きさであると考えられ,静注5分後までならばmicrosphere法にて精度よく局所脳血流血の測定が可能である. 問題点2)に対する検討結果:被検者8名について,入力関数と静注数十分後に撮像した画像を補正する係数(頭部全体の放射能カウントの変化率)を実測し,それらを用いてシミュレーション解析を行ったところ,局所脳血流量が過大に算出されることがわかった.過大に算出される割合を定量的にとらえその補正を試みたところ,^<133>Xe吸入法によって測定した局所脳血流量の値との誤差率は平均約7%改善した. microsphere法による局所脳血流量測定における誤差を定量的にとらえることができた.さらに問題点2)についての補正法を提案し,その有用性を認めた.
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