研究概要 |
今回我々は一般臨床にて使用可能なMRI装置を用い,Gradient Echo法によるfunctional MR画像から生理的な脳の局所血流動態の解明を試みた. 正常ボランティアを4名を対象にGE社SIGNA 1.5T MRI装置(既設)を用いてfunctional MRIを行った。使用するシーケンスはT2^*強調のlong TE spoiled GRASS法(TR/TE=90/60,Flip Angle40゚,Matrix 128X128,FOV230mm,Slice thickness 5mm)で、head coilを使用し、後頭葉を含む横断面を撮像した。負荷として、発光ダイオードを組み込んだゴ-グルを自作し、周期的な光刺激を与えた。8発の光刺激をトリガーとしてspoiled GRASS sequenceをscanさせ、cine MRIと同様にTRに応じた90msec間隔の位相の異なった画像を撮像した。トリガーの間隔は10secとし、110画像を得た。得られた画像を画像解析用コンピューターに転送した。このコンピューター上で画像解析ソフトを用い、各ピクセルごとの時間軸に対する信号強度変化率をフーリエ変換し、負荷のon,offの周期と同じ周波数成分を有するピクセルのみから画像を再構成した。また、フーリエ変換から得られる周波数成分の位相情報を用い、後頭葉視覚野における信号変化を解析した。また、得られた画像を動画像にて表示し、高時間分解能の血流動態観察を試みた。 信号変化解析からは光刺激に同期した信号変化曲線が得られたが、動画像からは血流動態よりも呼吸性又は拍動に伴う位相方向の画像の乱れが目立った。functional MRIによる脳機能の画像化は従来画像診断が行ってきた解剖学的な診断から機能的な診断へと新しい展開を導く研究である。特に、当研究は臨床応用を目的としたものであり、今後のfunctional MRIの発展に大きく貢献すると思われる。
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