放射性同位元素(RI)標識抗ICAM-1抗体が肺移植拒絶反応の重症診断に応用できるか?ラット同所性肺移植モデルを用い、組織へのRI集積度の経時的変化、光顕病理組織学的所見との対比、および画像化から検討した。 Wister-King rat の左胸腔内にLewis ratの左肺(1葉から成る)を移植した。Isograft群にはLewis ratを用いた。抗ラットICAM-1抗体にキレート剤であるDTPAを用いて^<111>In-C1を標識した。肺移植後1〜4日目の各群に対して^<111>In-C1標識抗ICAM-1抗体(740KBq)と静注し、24時間後に自己肺と移植肺を摘出した。単位組織重量当たりのRI集積度を測定し各ラットの投与量と体重にて補正した%kg dose/gを算出し、各群の移植肺に対する集積比率にて評価した。 移植2日目のAllograft群では0.9±0.4とIsograft群とほぼ同様の値を呈したが、3日目では2.3±0.5、4日目2.8±0.6、5日目3.8±0.9と拒絶反応の進行とともに増加した。また3日目群のシンチグラムにおいて移植肺は明瞭に描出された。同群の病理組織所見は可逆的変化である小細動静脈周囲の単核球浸潤、肺胞の単核球浸潤が主体であり、不加逆的変化である小細動静脈内皮細胞剥離や肺胞壁破壊は少なかった。^<111>In-C1標識抗ICAM-1抗体は病理組織変化が可逆的な段階において画像診断を可能にすると考えられた。
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