本年度において、以下の研究結果を得ることが出来た。尚、対象臓器は肺および肝で行った。 1.肺:通常のインクレメンタルCTとヘリカルCTの比較を行った。造影は、経静脈性に自動注入器を用いて行い、300mgI/mlのヨード含量の造影剤を使用した。各々の造影方法は以下の通りである。インクレメンタルCTでは、2ml/秒の速度で総量100ml、注入開始35秒後からスキャンを行った。ヘリカルCTは、1ml/秒で総量30ml、注入開始30秒後からスキャンしたものと、1.5ml/秒で総量60ml、注入開始35秒後からスキャンを行う2通りを施行した。ヘリカルCTの寝台移動速度は、7.5mm/1.5秒または10mm/1.5秒で撮影した。肺動脈の造影能、縦隔リンパ節の描出に関して検討を行った。インクレメンタルCTとヘリカルCTの間に有意な差は認められず、総量30mlの造影剤でも精査目的の検査でなければ、診断にたえうると考えられた。 2.肝:肝に対しては、ヘリカルCTの目的の血管相をとらえられる特徴をいかし、経静脈性に通常の造影剤量により門脈、肝静脈が同時に造影されている時相でスキャンを行い、3D画像を作成することを検討した。門脈、肝静脈の同時描出3D画像は、両者の位置関係を明らかとし、Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt(TIPS)施行前のシミュレーションとして有用し考えられる。その結果、2ml/秒、総量100mlで、注入開始70秒後にヘリカルCTを施行することで、門脈、肝静脈の同時描出像を得られ、MIP(Maximun Intensity Projection)法により3D像を作成できた。
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