1.ファントム作成について 乳房温存療法を実際に経験した症例のうち、日本人の平均的乳房の大きさを持った症例を選び、その症例のCTを基に残存乳房の輪郭を得た上で、MIX-DP(厚さ1cm)を用い、モデルファントムを作成した。肺野に関してはコルクを使用した。尚、肋骨部に関しては検討の結果、骨に相当する物質の問題とファントム内への留置の困難さ等により、特別に作成していない。 2.相対的線量測定について Film法による3次元分布を基に相対的線量分布を行なった。現在の当センターにおける照射方法で実際にはどの位の線量が残存乳房にあたっているのか?wedgeの使用によりどの位補正できるか?照射方法の選択についてはどうか?等を検討した。現時点においては、Opposed pair法が、Half-Block法より適当であり、wedgeの使用は、乳房の大きさによっても違うが、0〜15度が適当ではないかという推論に至っている。 3.絶対線量の評価と対側乳房の線量評価に関しては、現在実験中であるが、各々の線量を測定することにより、理想的な照射方法を検討し、臨床に応用したいと思っている。 (1)絶対線量の評価 上記2.で使用したファントムを使用する。照射方法はOpposed pair法およびHalf-Field Block法を用い、中心線量(isocenter)の評価を行なう。CTを基に中心部を仮定し、その線量を測定する。測定部位の目安としては、乳頭直下・乳頭-中心間1/2・中心・中心-肋骨上1/2・肋骨上・肺内・中心線上-(乳頭-正中1/2を通る垂線)の交わる点・中心線-(乳頭-中腋窩1/2の通る垂線)の交わる点・胸骨傍部等である。また、正中線上より上・下のスライス面での線量評価も行なっている。 (2)対側乳房の線量評価 購入したファントムを用い、上記1.2の結果を参考にし、周囲臓器と対側乳房への散乱線の影響を考慮し、さらには2次発癌率のriskへとつなげていきたいと思っている。 4.CT画像との比較 放射線治療後の肺障害を、治療前・治療直後・治療後1カ月・6カ月・12カ月にHR-CTを撮影し検討している。現在、約40例についてfollow中である。今後は上記ファントム実験の線量分布・線量評価と対比させ検討する予定である。
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