Fischer344系雄性ラットとBuffalo系雄性ラットを、一週間ラット行動測定装置(ON3420:小原医科産業製)内で飼育した後、セロトニン1Aアゴニストであるイプザピロン5mg/kgを腹腔内投与し、直後より行動測定装置内で自発運動量の測定を行なった。対照には生理的食塩水を用い、それぞれの系統のラットの自発運動量をイプザピロン投与時と、生理的食塩水投与時で比較するとともに、イプザピロン投与時の2系統間のラットの自発運動量を比較検討した。Fischer344系ラットにおいてはイプザピロン投与1時間後に生理的食塩水投与群と比較して有意な行動量の増加がみられた。Buffalo系ラットでは投与5時間後で生理的食塩水投与群でイプザピロン投与群より有意な行動量の増加がみられた。また、イプザピロン投与後は、Fischer344系ラットの自発運動量は常にBuffalo系ラットより増加しており、投与4時間後に有意差がみられた。次に、Wistar系雄性ラットの視床下部におけるノルアドレナリンの代謝産物であるMHPGを、マイクロダイアリシス法を用いて測定した。イプザピロン5mg/kgをラットに腹腔内投与し、対照には生理的食塩水を用いた。視床下部におけるMHPG濃度は、イプザピロン投与群は、生理的食塩水投与群と比較して、イプザピロン投与後2時間目より徐々に減少し3時間目で有意な減少を認めた。これらのことより、セロトニン1Aアゴニストであるイプザピロンがノルアドレナリン系にも影響を与え、これがセロトニン1Aを介している可能性が示された。
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