本年度は、抑うつ症状改善に伴う脳機能変化とその固体差、および三環系抗うつ薬(TCA)治療に対する反応性と脳内各部位の機能変化の関連を探ることを目的として分析を行った。対象は滋賀医科大学付属病院精神科に入院したうつ病患者で、TCAを服用しており、本研究に同意の得られたものとし、これまでに21名のデータが得られた。IMP-SPECTは治療開始直後の抑うつ期(ハミルトンうつ病評価尺度10点以上)と抑うつ改善後(同10点未満)の計2回施行し、大脳皮質11部位と線条体、視床の計13部位について脳血流量を求めた。その結果、抑うつ改善に伴って右前頭葉から側頭葉にかけて有意な血流増加があること、急速反応群と非急速反応群では血流変化のパターンが異なっており、脳血流量測定が治療予測に有用である可能性が示唆された。TCAの血中濃度に関しては、両群に著明な差は認められなかった。これらについては、その一部を第4回臨床精神神経薬理学会(1994年11月)で発表し、また第17回日本生物学的精神医学会(1995年3月)においても発表予定である。 MRIデータの利用については、MRIデータをダウンロードするためのテープドライブとソフトウェアを購入、またカリフォルニア大学ア-バイン校脳画像化センターとの協力でMRIデータ解析ソフトを作成した。またSPECTデータの自動解析ソフトもこの2月に完成し、これらを利用したデータ分析が現在進行中である。これらの結果については第5回臨床精神神経薬理学会(1995年9月)および論文にて発表する予定である。
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