(1)マウス膵島アミロイド蛋白(IAPP)ゲノム遺伝子のクローニグ マウスIAPPcDNAをプローブとして、マウスゲノムライブラリーよりマウスIAPPゲノム遺伝子のクローニングを行った。マウスIAPP遺伝子は全長約5.8kbであり、ヒトおよびラットと同様3エクソンより構成されていた。転写開始部位はTATA-boxより33bp下流のGであった。-32〜-26bpにラット同様CCAAT-boxが認められ、ヒトでは認められないことより、ヒトと齧歯類で発現調節機構が異なっている可能性も示唆される。また、-140〜-120bp付近にはインスリン遺伝子の転写調節エレメントであるE-boxあるいはP1領域類似の塩基配列が認められた。 (2)CAT assayによるマウスIAPP遺伝子転写調節領域の解析 マウスIAPP遺伝子5'上流部(-2.5kb〜+423bp)の種々の長さのDNA断片を導入したIAPP-CAT reporter gene constructを作成し、マウス・インスリノーマ細胞株(β-TC3)へ導入し、CAT活性を指標に各constructのプロモーター活性を検討した。その結果、-171〜-87bpの部位が転写調節に関与しており、なかでも-143〜-111bpの領域が重要と考えられた。同部位にはE-boxやP1領域類似の塩基配列が存在するため、それぞれに変異を導入し検討したところ、両者とも転写調節に関与しているが、特にP1類似のTAAT配列が重要と考えられた。また、イントロン1の欠失により転写活性が低下するため、イントロン1にもエンハンサーの存在する可能性が示唆された。
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