研究概要 |
Eicosapentaenoic acid(EPA)はオレイン酸(OA)と同様にHepG2細胞でapoB分泌を増加させる機序を解明し、また、漢方薬である大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蠣湯のin vivoで見られる抗脂血作用をHepG2細胞を用いて検討した。 細胞内のTG、CEの合成はcontrol(C),0.4mM、0.8mMのOAまたはEPAの各溶液あるいは、0.5から5.0mg/mlの濃度の大柴胡湯(TJ-8)、柴胡加竜骨牡蠣湯(TJ-12)の溶液を作り、2ないし24時間培養し脂質を測定した。ApoBの分泌は免疫沈降法およびELISA法を用いた。 細胞内のTGの合成はCに比べOAとEPAで5倍に増加した。細胞内のCE合成は、OAではCと同様だが、EPAはCに比べ約50%有意に低下させた。TJ-8、TJ-12の細胞内の脂質の合成は0.5mg/mlの濃度で各々Cの約50%に低下した。ApoBの分泌はOAとEPAともCに比べ約3倍増加した。TJ-8、TJ-12のapoBの分泌は両者とも2.0mg/mlの濃度ではCに比べ有意差はなかったが、5.0mg/mlの濃度で有意に抑制した。Pulsechase実験ではapoBの合成量はC,OA,EPAとも有意差はなかったが、細胞内分解は有意に抑制された。OAとEPAはCに比べ細胞内のTG生合成を増大させたが、EPAは細胞内CEの生合成を減少させた。OAとEPAともapoBの細胞内分解を抑制することによりapoBの分泌を亢進させた。細胞内のTG合成亢進はapoBの分泌促進に重要であり、CEはapoBの分泌調節に関与していないことが示唆された。一方、TJ-8、TJ-12は低濃度においてもTG、CEの合成を抑制したが、apoBの分泌を抑制するには、より高濃度でTJ-8、TJ-12を添加する必要があることが判明した。
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