現在までに、我々は、SODとの併用による化学発光法及びチトクロームC還元法を用いて、酸化LDLにスーパーオキシド生成能があることを確認した。又、酸化LDLの細胞傷害因子の本体と考えられているHydroperoxideにも、酸化LDLと同様の特徴を有したスーパーオキシド生成能があることや、Hydroperoxideを分解する薬剤(エブセレン)で処理した酸化LDLには、スーパーオキシド生成能が消失することなどを見いだした。各種金属イオン、金属キレート剤、ラジカル・スキャベンジャー、及び抗酸化剤等の酸化LDLのスーパーオキシド生成に及ぼす影響の検討から、酸化LDL中のHydroperoxideのレドックス分解により生ずるラジカルを経由して、スーパーオキシドが生成するものと推測された。酸化LDLのスーパーオキシド生成能とマクロファージに対する細胞傷害活性との間には、極めて強い相関性が認められた。次に、我々は、SODとの併用による化学発光法を用いて、酸化LDLが、好中球からのスーパーオキシド産生を刺激する能力があることを見いだした。好中球から産生されるスーパーオキシド量は、刺激剤となるLDLの酸化の程度に依存して増加すること、及び刺激機構の一部は、好中球の食作用と関連することなどを見いだした。酸化LDLと同様に、マクロファージに取り込まれ泡沫化を引き起こすことが知られているアセチル化LDLや凝集LDLには、好中球からのスーパーオキシド産生の誘導能は認められず、酸化LDLに特異な現象と考えられた。
|