これまで我々はG-CSFRcDNAをプローブに用いたサザン解析によってAML細胞の一部でG-CSFR遺伝子構造異常の存在を示唆する結果を得ており、これらの研究結果に基きAMLが受容体異常疾患であるか否かを解明する目的で、AML細胞におけるG-CSFR遺伝子の細胞内領域の塩基配列について構造異常の有無を各AML症例について検討を試みた。方法としては、G-CSFR細胞内領域に対応する合成オリゴマーを作成し、各患者のAML芽球から、グアニジン塩酸法、またはAcid Guanidinium Thiocyanate-Phenol-Chloroform(AGPC)法により全RNAを分離したAML30症例の全RNAおよび上記のプライマーを用いてreverse transcriptase-polymerase chain reaction(RT-PCR)法を行なった。現在、自動シーケンサー機を用いてRT-PCR法によって合成されたcDNAからAML細胞のG-CSFR細胞内領域に対応する塩基配列について調べている。今後、異常塩基配列が発見された場合は、クローン化した異常G-CSFR遺伝子をマウスIL-3依存性細胞株であるFDCP-1に導入し異常G-CSFR遺伝子を発現させ、上記細胞についてG-CSFによる増殖反応とミエロペルオキシダーゼ(MPO)およびリューコサイトエステラーゼ(LE)を指標とした成熟骨髄系細胞への分化誘導について検討を加え、本遺伝子異常が細胞増殖ならびに分化のどちらの異常をもたらしているかについて検討を加える予定である。
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