1)エリスロポエチン(Epo)遺伝子CAP site上流-30bpのGATA配列はEpo遺伝子発現の負の調節配列であるが、GATA配列に結合している転写因子について免疫組織化学、Northern blot法などにより解析した。その結果、GATA配列に結合する転写因子はGATA-2であることを同定した。我々はAll-trans retinoic acid(ATRA)刺激により、低酸素・コバルト刺激同様、Hep3BのEpo蛋白産生・nRNA発現が亢進することを認めた。ATRA刺激下ではGATA-2の発現が低下することによりEpo遺伝子発現が亢進する可能性があり、現在Northern blot法により解析中である。 2)IL-6は低酸素刺激下でのHep3BによるEpo蛋白産生を亢進する。Epo遺伝子上流域にはNFIL-6類似配列があり、IL-6によるEpo遺伝子発現の調節領域である可能性がある。この系において我々はNFIL-6に結合する転写因子の存在を、ゲルシフト法で確認した。IL-6によるEpo遺伝子発現調節について、time course、mRNAのstabilityなどより検討中である。IL-6は多発性骨髄腫などの悪性腫瘍の病態に大きく関与しているが、今後患者血清などを用いて、悪性腫瘍におけるEpo産生調節の異常について、IL-1、TNFαなどを含めた他の炎症性サイトカインとの相互作用を含め、検討する予定である。
|