研究概要 |
【目的】ヒト造血幹細胞は,造血微小環境の統御をうけ,成熟血球となることが知られている。本研究では,血液疾患患者の骨髄より骨髄間質細胞を得,骨髄異形成症候群患者の末梢血より樹立されたMDS92細胞株分化に及ぼす影響を検討した。 【方法】再生不良性貧血・骨髄異形成症候群骨髄由来間質細胞に,骨髄異形成症候群細胞株MDS92を共培養し,MDS92の分化抗原であるCD33,CD11b,CD14,CD15,HLA-DR,FAS抗原の発現を検討した。 【結果】共培養後のMDS92表面抗原をFlow Cytometryにて検討した結果,液体培養のみの対照に比較して再生不良性貧血(8例)及び骨髄異形成症候群(RA 8例,RAEB 1例,RAEB-T 2例)由来骨髄間質細胞との共培養では,CD33,CD15の発現減弱が認められた。また,再生不良性貧血ではCD14の発現増強,骨髄異形成症候群ではCD14およびHLA-DRの発現増強が認められた。 【考察】再生不良性貧血及び骨髄異形成症候群骨髄間質細胞によりMDS92の分化,増殖に差を認めた。今後,造血幹細胞を用い検討を行う予定である。
|