研究概要 |
ヒト膜性腎症実験モデルHeymann腎炎の疾患感受性の有無が既に判明している4種のラットストレインの腎臓ホモジネートよりDNAを抽出後、これをgenemicDNAとして使用し、既知のラットストレインを参考にしてラットの主要組織適合抗原(MHC,ヒトではHLA)クラスII遺伝子(RT1B,D)の多型性を呈するβ1ドメインを特異的に増幅すると考えられるプライマーをRT1.BおよびD遺伝子について各々4ペア-ずつ合成オリゴヌクレオチドにより作製し、PCR法により遺伝子増幅を行った。このうち、4つのストレイン全て特異的増幅が得られたプライマーペア-を選択し、最適のPCR条件を設定後、得られたPCR産物はRT1.B,D遺伝子各々約260,290base pairsであった。更に非対称PCR法により一本鎖DNAの増幅を行い、精製分離後ダイデオキシチェインターミネーション法によりシークエンスを行い、現在も解析中である。これまで報告されたRT1クラスII遺伝子のアミノ酸配列についてHeymann腎炎発症の感受性あるいは抵抗性を呈する2群に分けると、いくつかの部位にアミノ酸配列の相違があったが、既知のラットストレインの遺伝子解析はまだ限られているため、今後はラットのストレインの数を増やし、ヒトのHLA遺伝子との比較を含めた解析を続けていく。
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