1、羊水エリスロポエチン(EPO)異常高値例の予後の検討 羊水EPO異常高値例の短期的予後には不良例が多いことを臍帯血EPO異常高値例との比較も含めて日本小児学会総会(1994年5月、札幌)にて報告した。 羊水EPO、臍帯血EPOの胎児仮死の指標としてのCUT OFF値を設定し、異常高値例の臨床的意義を、胎児心拍の異常との比較を行って検討し日本新生児学会総会(1994年7月、東京)にて報告した。 2、羊水EPO、臍帯血EPOの子宮内低酸素状態に対する反応の違いを経時的、定量的に評価 妊娠ラットを用いて、低酸素負荷を与えることにより上記の検討を行った。酸素濃度13%では有効な低酸素負荷にはならなかったが、9%では有効なEPOの反応が得られた。その結果、臍帯血EPOは1.5時間の低酸素負荷で有意の上昇があったが、羊水EPOでは上昇に9時間を要した。つまり、羊水EPOは臍帯血EPOに比べてより長時間の子宮内低酸素状態を反映すると考えられた。この結果は日本未熟児新生児学会(1994年10月、東京)にて報告した。また、24時間低酸素負荷後に正常に戻るまで臍帯血EPOは12時間であったのに対し、羊水EPOは48時間でも正常化しなかった。この結果については今後発表の予定である。
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