ラット肺を灌流後、摘出して得られた全肺細胞を37℃、CO_25%存在下で培養した。培養72時間後、プレートに一層になって付着した細胞を大腸菌由来のLipopolysaccharideで刺激したあと培養液を回収しTNFを測定した。Lipopolysaccharideの濃度を1×10^<-11>から1×10^<-4>g/mlまで変化させてTNF濃度を測定したところ、1×10^<-9>g/mlから急激に増加し、1×10^<-8>g/mlでpeakを示しほぼプラトーになった。 次に1×10^<-6>g/mlのLipopolysaccharideで刺激したあと経時的に回収した培養液中のTNF濃度を測定した。刺激後90分でTNF濃度は急激に増加し、3〜4時間でピークとなりその後やや減少した値でプラトーとなり24時間後まで経過した。 以上からTNF活性値を測定するための培養液の回収時間を刺激後4時間とし1×10^<-6>g/mlの濃度で刺激して以下の実験を施行した。 TNFは主にマクロファージから産生されていると考えられるため、マクロファージに対して選択的に致死作用を有すると報告されている2-Chloroadenisineを培養液に添加することによりTNFの産生がどの程度抑制されるかについて検討した。 TNFは未処理の肺胞細胞に対し、56.8%と2-Chloroadenosine添加群で有意に抑制された。 次に培養細胞をMouse anti-rat IgG monoclonal抗体を用いて免疫染色することにより2-Chloroadenosineによるマクロファージの生育阻害率とTNF濃度の抑制率との関係をみた。マクロファージは未処理の場合、生育肺胞細胞中38%を占めたのに対し、2-Chloroadenosine添加群では27%と減少しており、未処理の時の約71%に減少していた。これによりTNFの多くはマクロファージが産生されていることが示唆されたが、さらに肺胞II型上皮細胞、線維芽細胞等を単独で培養し、TNFの産生能を検討する必要があると考えている。
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