研究概要 |
子宮内胎児発育遅滞(以下IUGR)児60例ならびに対象となる正常新生児20例の臍帯血を採取し,rapid turnover proteinである,prealbumin,retinol-binding protein,tranferrin,fibronectinを測定し、身長,体重,頭囲,胸囲などの身体測定値以外の栄養状態の客観的評価を行った。同時に臍帯血ガス分析,髄液中グアナーゼ活性測定により,胎児仮死による低酸素状態,とくに慢性の低酸素状態の有無,程度を評価した。さらにヒューレットパッカード社製超音波診断装置を用いて,超音波ドプラ法による前大脳働脈ならびに中大脳動脈の血流速度を測定して脳血管抵抗の評価し,また津島製作所製近赤外光分析装置を用いて脳組織中の酸化および還元ヘモグロビンを測ることにより脳血流動態の詳細な検討を行った。これらによって,栄養障害の程度と,子宮内胎児低酸素症の有無ならびに程度,および脳血流動態の評価を組み合わせて,新たなIUGR児の重症度分類を行った。 これらの児は,新生児期のみならず,今後退院後も定期的な外来フォローにより身体発育ならびに精神運動発育について詳細な検討を加え,その臨床像,長期予後を明らかにしていく予定である。 なお,本研究はすべて両親のインフォームドコンセントのもとに行った。
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