ウルソデオキシコール酸・亜鉛同時負荷による術前肝機能評価法を肝機能低下9例について、肝機能正常(ICG K値=0.180以上)20例と比較した。その結果、 1)血中亜鉛濃度の180分までの濃度下面積(Zn AUC180)は、肝機能正常例は456±69μ g・min/dlであったが、肝機能低下例では291±146.7μ g・min/dlと低値であった(p<0.05)。 2)血清亜鉛は、投与後90分に肝機能正常例では210.5±42.5μ g/dl、120分に205±42.5μ g/dl、180分で215±32.5μ g/dlであったが、低下例ではそれぞれ102.5±20.3μ g/dl、119±43.4μ g/dl、121.3±43.4μ g/dlであり、いずれの時点でもその差は明白であった(p<0.05)。しかし、尿中亜鉛は有意差を認めなかった。 3)血中ICG K値とZn AUC180の間にはr=0.69の正の相関を認め、肝機能の指標となることが分かった。 4)血清亜鉛濃度の投与前値はアルブミンとr=0.54、プレアルブミンとr=0.46の正の相関を認め、患者の栄養状態の指標となることが判明した。 これらの事実より、ウルソデオキシコール酸・亜鉛同時負荷は肝機能評価の新しい指標になる可能性が示唆され、今後、臨床における多数例による確認が期待される。
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