研究概要 |
PCR法を用いて、門脈血中の微量の癌細胞をk-ras遺伝子のpoint mutasionを利用して同定し、その量より予後を判定する実際にさいして、その諸条件を決めるべく、以下の予備実験を施行した。 1:培養細胞sw480(k-ras,exon-1 codon 12 GGT→GTTが確認されている。)とDLD1(k-ras,exon-1codon 13GGC→GACが確認されている。)を継代培養し、これらを使用して条件設定のためのモデル実験を施行した。 2:DNAの抽出方法として、フェノールクロロホルム法と、サンプルのロスが少ないと考えられる加熱によるgenome DNAの抽出(eukaryocuteでは報告はない)とを比較検討した。加熱法ではsw480 2×10^6個を95℃で10分加熱し、その後RNase,フエノールクロロホルムで処理し、5μgの収量であったのに対し、フェノールクロロホルム法では、6×10^6個で70μgの収量であり、明らかに差があった。しかし、希釈列では、加熱法とPCR法(加熱のあとそのままPCRをかける)で10^2個までは検出可能であり、少量検体での加熱法の有用性が示唆され、今後さらに追及する予定である。 3:各細胞において、細胞数10^0〜10^6となるように希釈列を作成し、PCR法を施行した。ゲル電気泳動を施行して、検出限界を調べた。10^2個までは検出可能であった。またPCR法にての正常ヒト白血球細胞との鑑別では(3′末端にmutationがくるよう設定したsense primerを使用するため、条件設定が難しい)、95℃-1分、56℃-30秒、72℃-2分、45サイクルの設定で鑑別が可能であった。希釈列とあわせ、さらに検討する予定である。 3で使用した希釈倍列を正常ヒト血液に混入して、同様の方法で検討する。
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