今回は、体外肝切除に向けての基礎的な知識を広げるとともに、具体的な手術のシュミレーションについて検討した。今後、大動物を使って体外肝切除の手術手技の詳細を詰めるとともに、手技的改良を加えていく。また、肝摘出後の無肝期が生体に及ぼす影響について、さらに検討する。一方で、Back tableでの操作は、無肝期が許す限り長時間の方がよい。しかし、実際に、本術式が適応となる可能性が最も高い肝細胞癌では、肝硬変症を合併していることが多く、この場合、術前の肝障害の程度と保存時間の関係が問題となってくる。この点については、ラットを用いて四塩化炭素投与による肝硬変を作成し、その肝障害の程度と保存時間について検討する。これにより、肝硬変症を合併した肝細胞癌に対しても、より安全な体外肝切除が可能になると考えられる。 また、長時間の無肝期に耐えれない症例に対しては、一時的異所性体外肝移植のサポートによる耐術を検討する。本術式が外科手術にもたらす恩恵には計り知れないものがあり、将来的には、当施設でも臨床例において、従来の外科的手術では不可能でありかつ肝移植の適応とはならないような転移性肝癌や肝細胞癌に対して、安全に体外肝切除ができるように準備を進めていくつもりである。
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