重症感染症におけるG-CSFと抗ICAM-l抗体投与効果について検討した。 結果 1)盲腸結紮・穿刺にて作成したラット腹膜炎に対してG-CSF100μlおよびG-CSF+抗ICAM-l抗体5mg/kgを投与し、生理食塩水を投与した群を対象とした。 2)lCAM-lはG-CSFおよびG-CSF+抗ICAM-l抗体投与群に比較し、生理食塩水群において有意に誘導されていた。しかし、G-CSFとG-CSF+抗lCAM抗体投与群との間には有意差を認めなかった。 3)白血球貪食能には3群間に有意差を認めなかった。 4)活性酸素産生能は生理食塩水投与群において有意に高値を示した。 5)H_2O_2産生能力は生理食塩水投与群においてのみ高値を示した。 6)組織学的検討では生理食塩水投与群においてより高度の肺障害を認めた。 結論 G-CSFは重症感染症において、その感染症の軽減を介して臓器障害を軽減するが、一方で危惧される白血球を増加せしめることによる臓器障害増長には直接的影響がないものと介された。したがって、抗ICAM抗体投与による白血球粘着抑制の処置は不必要と考えられた。
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