研究概要 |
至適肺保存法の実験的検討として、自己血灌流モデルによる機能評価法にて前灌流における灌流速度と灌流圧を変化させ、灌流圧の保存肺に与える影響を検討した。日本白色雄性家兎を用い、胸腔内にて、細胞外液型リン酸緩衝液保存液により灌流を行った。我々が作成した前灌流装置にて、総灌流量を200mlとし灌流速度を調整し、Control群(灌流圧15mmHg非保存群)1群(灌流圧5mmHg,灌流速度23.4±ml/min)2群(灌流圧10mmHg、灌流速度54.1±6.4ml/min)3群(灌流圧15mmHg、灌流速度75.1±6.5ml/min)4群(灌流圧20mmHg、灌流速度91.8±9.1ml/min)5群(灌流圧25mmHg、灌流速度115.5±8.7ml/min)の灌流圧に分け前灌流を行った。その後24時間、8℃の同液にて単純浸漬保存を行い、我々が一部改良した自己血灌流モデルにて静脈血で10分間灌流し、さらに続いて60分間閉鎖回路にして灌流を行い保存肺を評価した。動脈血ガス分析(6分後、10分後)では、1群、4群は、Control群に対し有意に不良であり(p<0.05)、5群は、Control群、2群、3群に対し有意に不良であった(p<0.05)。また肺動脈圧に関しても、4群が灌流後70分、5群は6分において、Control群、2群、3群に対し有意に高値であった(p<0.05)。灌流後の湿乾重量比では、1群、4群、5群で有意に高値を示した。以上の結果より、肺保存における保存液の至適灌流圧は、10mmHgから15mmHgの間にあると考えられた。
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