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神経細胞死のタンパク代謝障害とpH

研究課題

研究課題/領域番号 06771071
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 脳神経外科学
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

椎野 顯彦  滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50215935)

研究期間 (年度) 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード遅発性神経細胞死 / 脳梗塞 / 海馬CA1 / 細胞内pH / C-2111
研究概要

【はじめに】ごく短時間の虚血で出現するCA1錐体細胞の遅発神経細胞死の原因としてタンパク合成障害が考えられている。タンパク合成の始動には細胞内pHが通常よりも0.2unitアルカリに傾く必要がある。また、ある種の生物の卵は環境の悪化にともないフ化が抑制されるが、これに細胞内アシドーシスの関与が推察されている。細胞内アシドーシスは、translationのレベルでタンパク合成を抑制すると言われており、このことは、遅発性神経細胞死のタンパク合成の障害がtranslationのレベルであるとする報告と一致する。そこで我々は、タンパク合成障害に細胞内pHの制御機構の異常が関与していると推察した。
【方法】ハロセン吸入麻酔下に、砂ネズミの両側総頚動脈を5分間閉塞した。虚血前、虚血中、再開通後1、3、6、12時間後、1、2、3、5日後の計10グループを設置し、各グループ6匹を使用した。
細胞内pHの測定には、米国で開発された4-chloro-methy1-7-hydroxycoumarin(CMHC,C-2111)を使用した。凍結3時間前にCMHCを静注しておき、漏斗法で脳を凍結後、クリオスタットで20μの切片を作成した。CMHC投与群は切片を直接、umbelliferone群は、umbelliferoneを浸したセルロース紙上で、360/370nmの励起光を照射し、得られた蛍光をARGUS50(浜松ホトニクス)で画像解析した。
【結果】虚血負荷前の海馬CA1、CA3、歯状回それぞれのpHは、7.08±0.12、7.12±0.08、7.12±0.11であった。虚血負荷5分で、pHはほぼ一様に6.6±0.32まで低下した。再開通1時間後には、海馬CA3、歯状回の細胞内pHは、7.17±0.23と既に回復していたのに対し、海馬CA1においては回復が遅れ、12時間後にようやく、虚血前の値に回復した。
【考察】5分虚血負荷時には海馬CA1に選択的に遅発性神経細胞死の起こることはよく知られているが、我々のモデルでも同様であった。また細胞内pHの回復が、特にCA1で不良であったことから、回復期のタンパク合成障害の原因として、細胞内pHの回復の遅れが原因と考えられる。蛋白合成始動時には、細胞内pHをアルカリ化する必要があり、このアルカリ化の障害は、回復期に特に必要な蛋白の合成を障害し、細胞死になるものと思われる。従来のumbelliferoneによる方法は、CMHCにくらべ、細胞内pHが高めに出るため、細胞外のpHが影響しているものと思われる。

報告書

(1件)
  • 1994 実績報告書

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公開日: 1994-04-01   更新日: 2016-04-21  

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