1.動物実験:ペントバルビタール40mg/kgによる腹腔内麻酔下に、成熟雄性ラットの大槽内に滅菌したカオリン溶液(250mg/ml)を0.1ml注入することにより、水頭症ラットを作成した。その際、コントロール群としてカオリン溶液のかわりに生理食塩水0.1mlを注入したラットには、水頭症は発生しなかった。 水頭症ラットに重水素化を行った薬剤を投与する前に、まずacetazolamide単独での脳代謝への影響を検討した。4.7Tesla MRIS装置(BEM-170/200大塚電子)を用い、50mg/kg acetazolamideの静脈投与後、^<31>P-MRSを測定した。PCr response peakに対するPi response peakから脳組織内pHを算出し、その変動を観察した。測定結果は次の通りであるが、脳組織内pHには有意な変動を認めなかった。 脳組織内pH (投与前) 7.13±0.04SD (10分後) 7.16±0.01SD (20分後) 7.13±0.04SD (30分後) 7.13±0.04SD 2.臨床例での検討:水頭症の患者に対し、心拍同期T2強調画像を撮影し、中脳水道における脳脊髄液の流速と流れの方向を観察した。一般に正常例では、脳脊髄液は心電図上のR波から50〜100msecの時点まで頭側方向への動きを示す。この後、尾側方向へ流れの方向を変え、心拍同期の2分の1か、あるいはそれより10msecほど短い時間で尾側方向への流れが一時的に速くなった後、頭側方向へ向き一周期を終了する。しかし、水頭症患者では、このパターンは大きく乱れていた。
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