前切断した末梢神経の遠位端における神経成長因子(NGF)の濃度を測定した。切断24時間後には正常の20倍以上のNGFが蓄積することが明かとなった。この高濃度のNGFは、若年動物のみならず、老齢動物(生後12カ月ないし24カ月)を用いた場合でも同様に観察された。この末梢神経遠位端に含有されるNGFが移植クロマフィン細胞生存にどのような効果をあらわすかを、片側パーキンソン病モデルマウスを用いて検討した。マウスの一側黒質線条体ドーパミン系を6-hydroxydopamine(6-OHDA)を用いて破壊した。このマウスの患側線条体内に、副腎髄質を単独であるいは、前切断した末梢神経遠位端とのコグラフトとして移植した。コグラフト群では良好なクロマフィン細胞の生着が見られ、アポモルフィンで誘発される回転運動の改善が見られたが、副腎髄質単独移植群ではそのような効果が認められなかった。
|