抗原提示細胞には、その細胞表面にB7分子を発現しており、細胞傷害性T細胞(CTL)誘導に重要な分子であることが示された。B7分子を遺伝子導入されたメラノーマ細胞では、未処置の細胞に比し、高率にCTL誘導を起こすことが知られている。グリオーマ細胞とメラノーマ細胞とは発生母地を同じくし、今回我々が用いたマウスグリオーマ細胞、RSVMではB7の発現は認められなかった。そこで、この細胞にB7を遺伝子導入し、B7分子を発現するtransfectantを作成、in vitroでCTLを誘導させたところ、未処置RSVMに比し、高率にCTLを誘導することがわかった。我々が用いている実験系では、C3Hマウスと同系のグリオーマ株細胞であるRSVMを用いる。当大学免疫学教室の東が作成したB7 plasmid vectorを用い、large prepにて増やした後にリポフェクチン法によりRSVMにtransfectし、B7分子の発現に関しては、FACS analysis(現有設備)にて発現量を計測する。adenovirusに関しては、まずshuttle vectorにB7分子を導入、それをlarge prepにて増殖させた。一方、adenovirusを含むcosmid vectorを同様の方法で増殖、それぞれを腎癌細胞にtransfectすることにより、B7分子をpackagingしたadenovirusを作成に成功した。次にC3Hマウスの脾細胞を摘出しリンパ球を採取、リンパ球と放射線にて不活化したRSVM細胞とを3日間cocultureすること(MLTR;mixed lymphocytetumor reaction)により、CTLを誘導したところ標的グリオーマ細胞に高いキラー活性をしめした。
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