松葉杖歩行を研究するために筆者が作成している荷重・衝撃計測用松葉杖システムに、長さ調節機能を備える改良を加え、リハビリテーションの臨床で1名の被検者に使用して測定を実施した。握り部位置調節と支柱長調節により、体格の異なるあらゆる被検者の測定に利用可能であると推察された。 1.長さ調節機能付き荷重・衝撃計測用松葉杖システムの作成: 過去の試作経験をもとに、アルミ合金製松葉杖の握り部、腋窩支持部分および支柱先端部分に荷重変換器を内蔵し、長さ調節装置(握り部位置調節装置、支柱長調節装置)を作成してシステムに取り付ける改良を試みた。握り部への変換器内蔵では、内蔵面積不足、挿入部分の拡大・変形に伴う不安定性の増大、および、変換器コード接合部破損なども生じたため、現在、安定性を確保して取り付けができるよう、再び握り部の改造を考案中である。 2.測定: 松葉杖システムにかかる最大荷重値、最大荷重値に達するまでの時間、ならびに変化率(最大荷重値÷最大荷重に達するまでの時間)を三指標として、リハビリテーションの臨床の場で松葉杖歩行中の測定を行った。記録には、各荷重変換器からの電気信号をシングルコンヂショナACストレインアンプで増幅後、生体電気用アンプとポリグラフシステム360を介して処理する方法をとった。その結果、歩調48歩/分、歩幅60cmの松葉杖歩行では、最大荷重は28.71(kg)、最大荷重に達するまでの時間は0.73(sec)、変化率は43.02(kg/sec)であった。今後、測定データの蓄積が必要である。
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