研究概要 |
人工膝関節置換術および大腿骨腫瘍の手術時に膝関節の内側および外側半月板を採取し、神経支配の分布状態を確認するため、modified gold chloride methodにより染色を行った。当初はgold chioride methodを施行したが、染色に染めむらが強く、しっかりとした神経支配の分布状態の確認が不十分となるため、protein gene product 9.5(PGP 9.5)染色法に変更した。上記の方法により、神経線維および受容体はやはり半月板の外側1/3の部分に存在しており、内側1/3の部分には認めなかった。また前角、後角においては外側1/3の範囲だけでなくもうすこし広範囲に分布していた。神経線維は血管の走行とともに半月板の外周縁より内側へ向かって進入しており、その後枝分かれし必ずしも血管と伴走していない部分も存在した。神経受容体の種類としてはPacinian corpuscle,Ruffini receptor,free nerve ending等を認めた。これらは圧受容体由来のものとされているが、形態からだけでなく神経および受容体の種類の確認を行うため、知覚神経線維の確認にはsubstance-Pに対するモノクローナル抗体を使用し、圧受容体の確認にはC.G.R.P.(calcitonin gene related protein)を使用する免疫組織化学的手技により行った。substance-P染色においては染色された線維はわずかではあるが、血管の走行とともに半月板の外周縁に認められた。C.G.R.P.染色はPGP9.5染色にて染色された神経の大部分が染色された。さらに詳しい神経の分布状態、年齢による差異等について研究を重ねたい。
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