研究概要 |
血小板活性因子(PAF)による、ノルアドレナリンに対する血管反応性低下の機序をpithed ratモデルを用いて検討した。 [実験と結果] PAF(30ng/kg/min)の60分間持続静注により、ノルアドレナリン(10ng/kg,100ng/kg,1mcg/kg)に対する血管反応性(平均動脈圧変化量により評価)は低下した。nitric oxide(NO)合成酵素阻害薬NG-monomethyl-L-arginine(L-NMMA,30mg/kg)を、PAF注入50分時に投与するとノルドレナリンに対する血管反応性はPAF溶媒処置群のそれと同程度まで回復した。サイクロオキシゲナーゼ阻害薬インドメサシン(5mg/kg)は、PAF注入45分時に投与しても血管反応性に有意な回復はみられなかった。30mg/kgのL-NMMAをPAF溶媒群に投与すると、血圧を著しく上昇させ、ノルアドレナリン1mcg/kgに対する血管反応性を低下させた。3mg/kgのL-NMMAは、PAF溶媒処置群に投与すると、血圧を上昇させたが血管反応性は変化させなかった。 [考察] 1.PAFによる血管反応性低下は、NOの過剰産生によることが示唆される。 2.プロスタグランディンなどのサイクロオキシナーゼ産物は、PAFによる血管反応性低下の主要要因ではない。 3.NO合成阻害薬L-NMMAは、血管反応性を亢進させない。
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