手術後の肝障害は比較的よく認められる麻酔科領域での合併症である。その予防法と治療法の確立は麻酔科領域での急務となっている。肝障害の原因としては、麻酔薬が肝臓で代謝される過程で生ずるフリーラジカルの関与が有力視されている。したがって、そうしたフリーラジカルを効果的に補促消去する薬物の使用により、肝障害もある程度予防できるのではないかと予測される。そこで、本研究では、まずフリーラジカル消去活性を測定評価する新しい測定系を確立し、その測定系により麻酔科領域の臨床で使用されている種々の薬剤の消去活性を測定した。中でも局所麻酔薬のリドカインと種々のカルシウムチャンネルブロッカーは強力なラジカル消去物質でもあることが判明し、通常使用する投与量も多いことから全身への浸透性も高く、本来の作用加え、麻酔による肝障害の予防にも期待できるのではないかと考えている。
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