一酸化窒素阻害薬と局所麻酔薬の脊髄での鎮痛効果、相互作用を見るためには、それぞれ単独の効果を知る必要がある。このため、まず一酸化窒素阻害薬のメチレンブルーとL-NAME、局所麻酔薬であるテトラカインをそれぞれくも膜下腔に単独投与した場合の、侵害刺激に対する反応の変化を見た。投与経路を確保するために、ケタラール麻酔下でラットのくも膜下腔にカテーテルを留置した。留置部位は腰髄レベルとし、位置の確認は麻酔から覚醒した後に局所麻酔薬リドカインを投与し、後ろ足にマヒが現れることで確認した。カテーテルによる神経障害がないことを確認して、2週間後にカテーテルからそれぞれの薬液を様々な希釈濃度を設定して投与した。初めに、薬液を投与したラットを観察したのちにホルマリン固定し、脊髄を調べ、3つの薬物それぞれについて、効果が得られ、かつ組織学的な変化を来たさない濃度、あるいは、神経行動学的な異常をおこさない最大量を決めた。その後、3種類の薬物について4から5種類の希釈濃度を設定した。それぞれを投与し、侵害刺激としてテイルフリック、ホットプレート、圧刺激試験における逃避反応開始の潜時を測定し、生理食塩水を投与した対照群の潜時と比較した。一酸化窒素阻害薬については、L-arginineを投与して、その効果を見た。メチレンブルー、L-NAME、テトラカインそれぞれから得られた結果から、用量反応関係を求めた。また、メチレンブルーとL-NAMEに関しては、その効果を拮抗するL-arginineの量を調べた。
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