研究概要 |
細胞内ATP減少が、ラット培養心筋細胞のαまたはβアドレナリン受容体刺激時に反応の及ぼす影響については第67会日本薬理学会年会において報告した。 生後2-3日のWistar系ラットより得た心筋細胞を培養液中で6-7日培養した。細胞内ATPを減少させるため代謝阻害薬である2-deoxyglucose(2DG),5mMを実験開始24時間前に培養液に加えた。細胞内ATPを高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、2DGの24時間処置により対照群と比べ約35%減少した。 同じ培養日数の心筋細胞を、観察時培養液中に2DGを含有するもの(2DG(+/+))、取り除いたもの(2DG(+/-))、対照群の3群に分けた。baseline beating rateは3群間で差はなかったが、baseline beating amplitudeは2DG(+/+)群では、他の2群と比べ著しく減少していた。α,βアドレナリン受容体刺激として、それぞれnorepinephrine(NE),isoproterenol(ISP)を用い、beating rate,amplitudeの変化を観察した。NE刺激により、3群共に陰性変時・陽性変力作用を認め、ISP刺激により、陽性変時・変力作用を認めた。3群間で、baseline beatingに対する%変化率に差は認めなかったが、陽性変力作用の絶対値は2DG(+/+)群で他の2群と比べ有意に低値であった。 以上のことから、心筋細胞内ATP減少により、収縮力低下が引き起こされ、アドレナリン受容体刺激によっても十分な心収縮力改善が得られないことが確認された。
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