研究概要 |
血管系には二つのtypeのNO合成酵素(NOS)が存在する。一つは血管内皮に存在するcalcium/calmodulin依存性のconstitutive NOSである。他の一つは血管平滑筋細胞において、endotoxinおよびcytokineにより蛋白合成系を経て誘導されるcalcium/calmodulin非依存性のinducible NOSである。これが誘導されると長時間にわたりguanylate cyclaseを刺激し、cyclic GMP(cGMP)の増加による血管拡張を引き起こす。halothaneは蛋白合成阻害作用を有することが知られている。今回、血管平滑筋におけるNOS誘導に対するhalothaneの影響を検討した。 1)IL-1β暴露による収縮抑制効果は内膜の有無で差はなかった。IL-1β暴露によって抑制されたKCIとPE収縮反応はL-NA(N^G-L-nitro-arginine,3×10^<-5>M)投与により回復した。IL-1β暴露による収縮抑制はIL-1受容体拮抗薬(recombinant human IL-1 receptor antagonist,20ng/ml)の同時暴露によって完全に阻止された。 2)IL-1βとhalothane(2%)の同時暴露は、IL-1β単独暴露群に比べKCI、PE収縮は有意に大であった(p<0.05)。halothane(2%)の単独5時間暴露はKCI、PEによる収縮に有意な影響を与えなかった。 3)IL-1βを5時間暴露することにより、内皮除去ラット大動脈平滑筋内c-GMP濃度は有意に上昇した。IL-1βとhalothane(2%)の同時5時間暴露は平滑筋内c-GMP濃度上昇を抑制した(p<0.05)。 4)以上の結果よりhalothaneは血管平滑筋においてIL-1βによるNOS誘導を阻害することが示唆される。
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