研究課題/領域番号 |
06771244
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
古賀 和徳 産業医科大学, 医学部, 助手 (20248587)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | カラギ-ナン / エンドトキシン / サイトカイン / 腫瘍壊死性因子 / 一酸化窒素 / 肝障害 |
研究概要 |
従来、マクロファージ破壊剤として用いられていたポリ多糖類の一種、カラギ-ナンをあらかじめ動物に前処置しておくと、エンドトキシン誘発による腫瘍壊死性因子(TNF)の産生が亢進するばかりでなく肝細胞障害が顕著であることから、このモデルの肝での病態生理に着目し、まずラット肝クッパー細胞を分離して種々の実験を行った。その結果、カラギ-ナンを前処置したラットから取り出したクッパー細胞は、無処置ラットに比較してエンドトキシン(LPS 1μg/ml)刺激によるTNF産生を約2倍に増加させた。すなわち、カラギ-ナンが何らかの機序でクッパー細胞をプライミングさせていることが明かとなった。しかしながら、TNFやIL-1,IL-6のmRNAレベルでのカラギ-ナン前処置の影響に関しては一定した結果が得られなかった。現在、培養時間、LPS濃度を変えて検討中である。次にカラギ-ナン前処置がサイトカインのみならず、最近脚光を浴びている一酸化窒素(NO)の産生も亢進させるか否かについて、またカラギ-ナンモデルにおけるNOの役割について、ラットならびにマウス(ddY 7-9w)を用いて検討を行った。その結果、カラギ-ナン前処置によりNO産生をも著名に亢進させること、しかしながらカラギ-ナン濃度をある一定以上投与した後では逆にその産生を低下させてしまうことを明らかにした。次にNO合成阻害剤をこのカラギ-ナンモデルに投与してその有用性の有無についてマウスを用いて検討した。その結果、構成型、誘導性NO合成酵素ともに阻害させるL-NAME(nitro-L-arginine methyl ester)はLPS誘発によるNO産生を強力に阻害させるとともに肝細胞障害を著名に亢進させ、結果的に有意に致死を亢進させた。それに対して誘導型NO合成酵素を選択的に阻害させるアミノグアニジンでは、NO産生を抑えるにもかかわらず有意な肝障害をきたすことなく、致死も亢進させなかったことから、エンドトキシン血症時の構成型NO合成酵素阻害はおそらく微小循環の途絶や血小板凝集によって臓器障害を高めてしまうことが示唆された。今後はクッパー細胞を用いてサイトカインだけでなくNOも含めたカラギ-ナンによる種々のメディエータ産生の亢進の機序についてさらに検討を加えたい。
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