研究概要 |
臨床の場において細網内皮系(網内系)機能が低下している患者では外科的侵襲や感染に対する抵抗性が弱いと考えられている。今回我々は、網内系の機能抑制がエンドトキシンショックに及ぼす影響についてマウスを用いて検討した。 網内系抑制物質としては、以前から知られているコロイダルカーボンを用いた。雄のddyマウスに前処置としてコロイダルカーボンを腹腔内投与し、24時間後にLPS(50μg/mouse)を静脈内投与した。LPS投与後72時間後までの致死率と、LPS投与後の血中サイトカイン産生(TNF,IL-1,IL-6)を調べ、カーボンのかわりに生理食塩水を投与した群(コントロール群)と比較検討した。 LPS投与後の致死率はコロイダルカーボンを前処置したものが、コントロール群に比し有意に高値を示した。LPS投与後2時間目の血中TNF産生に関してもカーボンを前処置した群では、コントロール群に比して有意に高値を呈していた。またこれらの結果は、前処置として投与したカーボンの量に依存していた。 現在、コントロール群とカーボン群とでLPS投与後の血中LPS濃度の推移を調べている。また、カーボンモデルにおいて抗TNF抗体が致死率に及ぼす影響と、カーボン群における肺、肝、腎、腸管についての病理学的変化について検討中である。さらに今後、肺に関してはミエロペルオキシダーゼ活性を測定し、コントロール群と比較し、白血球の肺への集積の度合いを定量的に検討する予定である。
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