研究概要 |
2種類のグルタミン酸受容体拮抗薬(NMDA型受容体拮抗薬とAMPA型受容体拮抗薬)を用いて、体性-腎交感神経反射電位に対するグルタミン酸受容体拮抗薬の影響を、3種類の投与経路(静脈内投与、脊髄投与、脳室内投与)について検討した。対象は、Wistar系成年雄ラットで、ウレタン-クロラロース麻酔下で動脈圧測定・心拍測定を行い人工呼吸により麻酔管理を行った。左後肢より刺激神経を剥離し20V,0.3Hzによる刺激によって左交感神経腎臓枝に誘発される体性-腎交感神経反射(A反射及びC反射)をコンピューターを用いて加算平均し、得られる反射電位を薬物投与前値に対する百分率になおして解析を行った。 ・NMDA型受容体拮抗薬MK-801では以下のような結果であった。 静脈内投与0.1mg/kg、1mg/kgによりA反射、C反射共に有意に減弱した。 脊髄投与10ng、100ng、1000ngでは変化が見られなかった。 脳室内投与1ng、10ngによりA反射、C反射共に有意に減弱した。 この結果、MK-801はラット体性-腎交感神経A反射・C反射を中枢性に抑制することが確認された。 ・AMPA型受容体拮抗薬CNQXでは実験途中であるが、以下のような傾向であった。 静脈内投与50ng/kg、500ng/kg、5000ng/kgによりA反射、C反射共に減弱傾向である。 脊髄投与10ng、100ngで静脈内投与と同様の反応を示した。 脳室内投与では静脈内投与に比べ微量でA反射、C反射共に減弱傾向である。 この結果、CNQXはラット体性-腎交感神経反射に対して抑制的に作用することが示唆された。
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