移植腎に対して潅流時間がどのような影響を及ぼすかを、組織内の各所(腎皮質、髄質内層、外層)にわけ、プロヲイカイネースC(PKC)を測定する事により、検討すべく実験を行った。日本白ウサギを対象に、両腎摘除術を行い、I)片側腎を4℃ Euro Collins液で潅流後すみやかに自家移植を行った。同様にII)片側腎を6時間後に自家移植、III)12時間後に自家移植、IV)24時間後に自家移植を行った。このように作製した白ウサギを各群とも24時間後に屠殺し、腎摘出術を行い、腎皮質、髄質内層、外層にわけhomogenialし超高速遠心機で分離し、細胞分画とに分離した。この各々に分画に対してPKC測定、Bmax、kdを測定した。なお、PKC活性測定にはAmersham社製RPN・77Aを用いて測定を行った。 今年度の実験においては、基本となるべく自家移植の段階でのトラブルが続出した。つまり、腎自家移植後の血流再開困難による腎不全死及び、術後出血による失血死が相次いで起こり、24時間後に腎を摘除し、測定することは残念ながら出来なかった。ただし、自家移植しなかった片側腎に関しては、コントロール群として同様の操作を行う事によりPKC、Bmax、kdは測定出来たが、このデータも各ウサギの間で非常にバラツキが多く、今後の実験継続に際しては、摘除腎の保質などについて更に検討すべき点が多いと考えた。
|