研究課題/領域番号 |
06771260
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
辻 克和 名古屋大学, 医学部, 助手 (80236885)
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研究分担者 |
山本 雅憲 名古屋大学, 医学部, 助手 (90191444)
三宅 弘治 名古屋大学, 医学部, 教授 (70023752)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | calmodulin / immunohistochemistry / human testis / male infertility / maturation arrest |
研究概要 |
[対象]特発性男性不妊症患者55名から採取した精巣生検組織を用いた。精巣の組織型はhypospermatogenesis26例、maturation arrest11例(complete spermatocyte arrest3例、incomplete spermatocyte arrest5例、spermatid arrest3例)、Sertoli cell-only syndrome18例であった。[免疫染色]標本は採取後直ちにブアン液で固定した。ウシ脳カルモデュリンより作成した抗体を用いて間接プルオキシダーゼ法を行った。[染色性の定量]各組織型の染色性を定量化するためランダムに選んだ一定面積内のすべての1次精母細胞数及び強陽性に染色された1次精母細胞数(=パキテン後期の正常な1次精母細胞数)をそれぞれ算定しその比率を求めこれをcalmodulin-specific staining index(CaM-S index)とした。コントロールとして正常精巣5例についてもindexを求めた。[結果及び考察]1、不妊症患者の精巣における抗カルモデュリン抗体に対する個々の造精細胞の染色性は組織型に関わらず正常精巣における染色性と同じであった。すなわち陽性反応は1次精母細胞のパキテン期の細胞で初めて観察されパキテン初期では陰性〜疑陽性、パキテン中期になると陽性となり、パキテン後期では強陽性を呈した。二次精母細胞や円形の精子細胞も強陽性であったが、長形の精子細胞〜精子になると染色性は低下し陰性となった。セルトリ細胞は陰性〜陽性を呈しライディヒ細胞は陰性であった。2、Complete spermatocyte arrestの症例におけるCaM-S indexは8.9±3.1%であった。これはコントロール(31.6±3.4.7%)、hypospermatogenesis(27.1±7.1%)、incomplete spermatocyte arrest(29.9±4.4%)の症例のindexと比較して有意に低かった。この理由としてcomplete spermatocyte arrestの症例では、核の濃縮が起こりカルモデュリンの反応が陰性となった変性したパキテン後期の1次精母細胞が増加し、正常のパキテン後期の細胞が減少したためと考えられた。3、抗カルモデュリン抗体による精巣の免疫染色はHE染色で区別の付けにくいパキテン初期、中期、後期の細胞の同定に有用である。
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