1.pregnenolone、170H pregnenolone、DHEAのauthentic sampleを用いて至適条件の検討を行ったが、これらのステロイドのmass spectraは脱水ピークがbase peakとして認められ、vaporization heater 250℃、desolvation heater 390℃、drift voltage 700Vが至適条件であると考えられた。 2.先ず、腎癌患者に対する根治的腎摘除術により得られた癌浸潤の無い正常副腎4例をコントロールとして用い、上記ステロイドの組織内含有量を測定した。定量分析ではpregnenolone、DHEAは微量ながらも測定可能で、それぞれの平均値は1439.1ng/g tissue、564.7ng/g tissueであり、同時に行ったRIAによる測定結果と近似していた。170H pregnenoloneに関してはmass chromatogram上retention timeの近似する未知の物質の大きなピークが認められたため分離困難であった。今後、カラムを含めた測定条件を再度検討するとともに、未知物質の同定も行う予定である。 3.手術的に得られた副腎癌1例について同様に分析を行ったが、pregnenolone 797.4ng/g tissue、DHEA 315.1ng/g tissueであった。170H pregnenoloneに関しては正常副腎組織で認められた未知のピークは観察されず、その含有量は384.2ng/g tissueであった。本症例はΔ^4-3-ketonic steroidに関しては、既にHPLCを用いて測定しているが、DOC、11-deoxycortisol以外は殆ど検出されず、pregnenolone、170H pregnenolone、DHEAに関しては相対的に高値であり、これらのprecursor steroidを産生しているものと考えられた。
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