1.当院で摘出したリンパ節、血管を、1次プローベとしてT_n抗原(GalNAc-Ser)、2次抗体としてビオチン化マウス抗T_n抗体を用いてABC法により免疫組織染色をおこなったところ、リンパ管、血管上にはT_n抗原親和性分子は検出できなかった。リンパ節内のマクロファージ様細胞に染色性が認められたが、これはビオチン化マウス抗T_n抗体のみでも染色されたことから、この細胞はT_n抗原を発現していると考えられた。 2.3種類の抗T_nモノクローナル抗体のうちの1つは培養血管内皮細胞(HUVEC)への子宮頸癌細胞株(Hela)の接着を濃度依存性に抑制した。T_n抗原が血管内皮と癌細胞の接着をとうして癌の転移に関与している可能性が示唆された。 3.子宮頸癌細胞株(Hela)のマトリゲル浸潤能に対する抗T_nモノクローナル抗体の影響は認められなかった。 4.癌患者血清中の抗T_n抗体価を測定するためのELISAの作製を試みたが、T_n抗原がなかなか固相化できないことが明らかになった。おそらくその分子量が小さすぎるためと思われる。現在、固相化できるように蛋白と結合させることをおこなっている。
|