研究概要 |
周産期医学における、preterm PROM・早産の管理は、その臨床的意義はきわめて大きく、その原因の一つに、微生物のendotoxin(ET)によるprostaglangins(PGs)産生増加 によりpROM・早産に至ると考えられている。我々は、Endotoxin処理した妊娠ラット子宮筋を用いて実験を行ったところ、Endotoxin処理により妊娠子宮筋の感受性の亢進が認められるのは、PGs産生亢進が深く関与していること発表している。そこで、この実験結果より、子宮筋のPGs産生が遺伝子レベルでどのように関与しているかを検討するために、Cyclooxygenase(COX)-1,2mRNAをノーザンブロット法にて測定した。 (1)妊娠0、10、17、21、日目のラット子宮筋を採取し、COX-1,2mRNAを測定したところ、COX-1は妊娠7日目より発現が増大し、21日目にはさらに増大した。しかし、COX-2の発現は妊娠経過を通してみられなかった。(2)妊娠17日目のラットの腹腔内にEndotoxin(ET:E.coli)を投与し、炎症モデルを作成した。また、indomethacin(IND)を前投与する群を加えた。(1)Control群,(2)ET群,(3)IND群,(4)ET-IND群の4群に分類し、COX-1,2mRNAを測定した。COX-1の発現は4群間に差はなかった。COX-2の発現はETを投与した、ET群、ET-IND群にみられた。しかし、IND投与による差はみられなかった。 したがって、COX-1は妊娠経過に伴い、ホルモン依存性に上昇し、COX-2はET処理により高値になることを証明した。すなわち、炎症反応は、COX-1ではなく、COX-2を活性化し、PGs産生を亢進させ、子宮筋収縮の感受性を亢進させると考えられた。
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