研究概要 |
【目的】卵巣癌細胞に対して体内の生理的物質としてのsex steroid hormoneと糖質corticoidの生体内auto-regurationおよび発癌抑制機序としてのapoptosisの関連について解明することを目的とした。 【実験と結果】自己樹立卵巣癌培養細胞株(KOC-2s)に対して各種sex steroid hormone(estrogene,progesterone)と糖質corticoid hormone(dexamethasone,hydrocortisone)、gonadotropin releasing hormone agonist(GnRHa)によるapoptosisの誘導を試みた。その結果、dexamethasoneでは10^<・7>mol/L以上の濃度において、hydrocortisoneでは10^<・5>mol/L以上の高濃度において培養24時間にて著明な増殖の抑制とapoptosisが認められた。また、estrogeneにいてはapoptosisの誘導は認められなかったがprogesteroneでは10^<・4>mol/Lでapoptosisの誘導が認められた。また、これらの細胞の増殖抑制効果はgel電気泳動においてDNA ladderとしてまた、ApoTagによるNick-end labeling法とLe^Y抗原の発現によりapoptosisによることが確認された。しかし、FACScanによるFas抗原については変化を認めず、これらの細胞において起こっているapoptosisはFas抗原を介しての現象ではないことが確認された。 【考案】生体内における糖質corticoidはリンパ球を主体とした炎症細胞にapoptosisを誘導することが報告されているがprogesteroneも高濃度では同様の作用を果たしている可能性が示唆された。またさらに、progesteroneは卵巣表層上皮付近では高濃度暴露を受けている可能性がありその点からもapoptosisを誘導されることにより癌化に対する抑制が働いている可能性が示唆された。
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