内耳.蝸牛ラセン神経節(モルモット)を摘出し、酵素を用いて単離した細胞を用いて、パッチクランプ法によりイオンチャネルの研究を行った。 パッチ電極はナイスタチン法を用いた。 急性単離したモルモットラセン神経節細胞にレ-グルタミン酸を投与したところカリウム電流が生じdose dependencyが認められた。今後はグルタミン酸受容体のサブタイプのうち、どの受容体が最もカリウムイオンとの関係が強いか検討を行う予定である。また、ラット胎児の培養神経節細胞にも同様の実験を行ったが反応が認められず、手枝、種差、成長の各因子において検討課題と考えられた。 現在ラセン神経節細胞のカフェインに対する反応に関する研究を行っている。カフェインは細胞内小胞体中のカルシウムイオンストックに影響を及ぼすとされ、これは、IP_3などのセカンドメッセンジャーを介しての反応と考えられている。細胞にカフェインを与えると、容量依存的に電流の存在が認められたが、単一の電流ではなく、複数のイオンの流出入の和と思われる結果を得た。 細胞内のカルシウム動態に関しては様々な方面よりアプローチがなされており今後様々のセカンドメッセンジャー阻害剤、拮抗剤を用いてこの経路に対する解明を行ってゆく計画である。
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